かばおです。
現状を改善できないか日々考えています。
本記事では角川書店、チャールズ・スペンス著・長谷川 圭訳、「「おいしさ」の錯覚 最新科学でわかった、美味の真実」を読んで得られたことを記載しています。
【内容】
ガストロフィジクス(食の最新科学)を用いて、人が食事の際に用いる感覚の解明及び科学を用いることで、食事を特別な体験に引き上げようと試みています。それらの科学的アプローチは、知的発見に導いてくれますが、個人的にはミシュラン三ツ星を獲得するような最先端レストランの取り組みが興味を引きました。
【これまでの考えと異なる点】
食事を食べるだけではなく、そこに至るまでのプロセスを重視している点です。
食器に毛皮をつけてみたり、ポテチを食べるときに音を飛ばしてみたり、照明の色を変えるetc…
飲食物を口に入れる前後の刺激によって、食に対する体験をコントロールする点に関して、昔ながらの料理人が読まれると違和感を感じると思います。
【本書のポイント】
食において最も重要視される要素は「嗅覚」と感じました。
嗅覚には周りの空気に含まれるにおいを鼻先で感じる「オルソネーザル」、飲食物を飲み込むときに口の奥から鼻に流れ込む揮発性の芳香分子をかぎとる「レトロネーザル」の2種類があります。
前者が香り、後者がフレーバーです。
音楽による聴覚への刺激や照明を変えることによる刺激など、食体験に対する様々な手法を紹介してくれますが、最も効果的に食体験をコントロールできるのは、最終段階で感じる嗅覚に対する刺激であろうと感じました。
日本においてもヘッドセットとアロマを用いた研究が行われていることが紹介されていました。
嗅覚の重要性を確認するため、かばおも実際に鼻をつまんで、色んなものを食べてみましたが、味なんてわかったもんじゃないです。逆に嗅覚をコントロールできれば、どんな味でも再現できるのではと、思ったほどです。
【どうやって有効だと検証した?】
著者自身の研究室やレストランと協力した実験を行っています。
【考えたこと】
レストランにおいても食事だけではなく、そこでしか味わえない体験に重きをおくために、個人の情報を必要としているようです。
現在はレストラン側が情報をあつめるために手をつくしているようですが、客側が情報を渡すことができれば、さらに個人に特化した体験ができるようになると考えました。
自分自身の情報を細かく書き留めるマメな人は少ないと思いますが、これから訪れるすべてのモノがインターネットにつながるIoT時代においては、そういったことが可能になると思います。
特別な体験を求めるためには、今のプライバシーという考え方はある程度捨てる必要があるとは思いますが・・・。
本書では他者との食事に重きを置いていますが、VRやAR、それからアロマの香りで誰もが最高級品を手軽に楽しめる時代が来た場合に一人の世界に没入することになると思いました。
未来において、外食産業は廃れるのか、孤独な食事に飢えた未来人の社交の場として、更なる発展を遂げるのか、興味がわきました。
食に対する最新の科学はもちろん、最先端レストランの取り組みに興味がある方は、本書を手にとってみてはいかがでしょうか。